確定拠出年金を導入しました②(主担当に決定・・・)

確定拠出年金の移行担当になんかは絶対にならない!と勝手に予想してのんびりと?!主業務である研修の計画等を立てていたところ、自分のカレンダーに金融機関との打ち合わせがどんどんと入ってきました。

などなどです。

しかも日本生命の打ち合わせと一緒だった労務担当の名前がありません・・・

さすがにヤバいと思い、総務部長に確認しました。

 

僕 「〇〇(労務担当)さんは企業年金はやらないんですか?」

部長「〇〇は忙しいようなので、企業年金は君だけで頼むよ」

 

企業年金は君だけで頼むよ

 

君だけで頼むよ

 

君だけで・・・

 

☆決定しました☆

第2回の特命は「企業年金」ですヽ(^o^)丿

 

ここでFランから部長になるためのワンポイントです

「忙しい」は口に出すな

ご存知の通り、忙しいとは「心を亡くす」と書きますが、“忙しい、忙しい”と言っている人のところには大事な仕事はまわってきませんよね。「仕事の報酬は仕事!」という言葉もある通り、自分は絶対に“忙しい”というセリフは吐きませんでした。どうしても手が回っていない時でも、「3分後ならいいですよ!」という雰囲気で近めの具体的な時間を言ってつながりを作っていました。Fランとしては「仕事を断る」のはもってのほかです。無理でも受けてできる方法を考える。それが生きる道です

 

 

にしても・・・・

企業年金・・・・

全くわからん・・

 

どうしたら良いものか何もわからないまま、上記の金融機関との打ち合わせを一通りしましたが、「全くわからん」状態が続きました。極めつけの対応は某銀行と打ち合わせをしている際に、

 

銀行 「御社の適格年金制度の担当会社さんはどちらですか?」

 

と聞かれ

 

自分 「日本生命さんと第一生命さんと住友信託銀行さんと三菱UFJ証券さんです(キリッ)」

 

と答え、銀行さんが「証券さんですか?!」とビックリしていたのは今でも鮮明に覚えています。そうなんですよね。適格年金制度は証券会社は担当できないので、まさにトンチンカンな答えをしていた。ということになります。

 

もちろんその銀行からのアポイントはその後、ありませんでした・・・

 

いずれにしても何とかしないと自分として業務が進まないばかりが、会社に恥をかかせることになってしまうため、さすがに気を引き締めなければなりませんでした。

 

つづく 

確定拠出年金を導入しました①(新しい特命業務の決定)

こちらのブログはFラン大学出身ながらも上場企業の部長になって、これまでのサラリーマン人生(特に特命業務)を「振り返る」という仕立てになっておりますので、タイムリー感はございません。ご了承ください。

 

 

前回の特命業務である、1ヶ月の変形労働時間制導入によるシフト制度が2007年夏ごろに終了し、やれやれと思っていたところ、なにやら見慣れないタイトルの打ち合わせが自分のカレンダーに入っていました。

 

 

打ち合わせタイトル 「企業年金

 

 

企業年金

 

年金?

 

企業は良いとしても年金ってなんだ?って感じでした。当時は、年金って老後に国からもらえるあれだろ?ぐらいの知識しかなかったので、なんのこっちゃさっぱりわかりませんでした。

 

それで、次に、打ち合わせの中身を見てみました。そうしたところ、参加者は下記の通り記載されていました。

 

◆自社

総務部

総務部労務担当

総務部人事担当(←自分)

 

◆来社

日本生命 企業年金部長

日本生命 企業年金課長

 

んっ?

日本生命

 

社内の打ち合わせじゃないんだ!!

いよいよよくわからん!!

 

という思いが正直なところで、この時点でもなぜ自分が企業年金とかいう得体の知れない制度の打ち合わせに出なければならないのかは全くわかりませんでした。

 

ただ、今回は事前に何も総務部長から担当や特命らしきことも言われているわけでもないし、労務担当のマネージャーも同席していることから、企業年金とやらについて総務部員として多少の知恵をつけておく必要があるということで、日本生命から勉強会でもしてもらえるのかなぁ。ぐらいのお気軽なイメージを持っていました。

 

ですから今であれば、事前に企業年金の前知識でも入れてから打ち合わせに臨むところでありますが、「教えてもらう」つもり満々なので、全くそんなことはせずに「無知」の状態で日本生命様をお迎えいたしました。

 

当日の打ち合わせにおける自分の状況

  • 適格年金制度???
  • 確定給付年金???
  • 退職給付債務???
  • ココハドコ?
  • ワタシハダレ? *1
  • コックリ・・コックリ・・(-_-)zzz

 

という状態で、午後イチの打ち合わせということもあり、意味が分からないし、眠いしで全く頭に入ってこなかったのが現状でした。

ですから打ち合わせが終わったあとでも、今回の打ち合わせのイシューが何で、何が問題点で、どんな行動をするべきか。ということが全く理解できない状況でした。なんというかあまりにも世界が違いました。

 

それでも後から分厚い資料(←とにかく年金系の資料はどこの会社も分厚かった)を読み返してみると以下のようなポイントが打ち合わせでは話されていたようです。

 

打ち合わせのまとめ

  • うちの会社の企業年金制度は適格年金制度である
  • 適格年金制度の主幹事を日本生命が担当している
  • 適格年金制度は法律で2012年3月末で廃止される
  • 制度の移行は時間がかかるので今(2007年9月)から取り掛かるべき
  • 確定給付制度(DB)に移管すれば問題ないよね?

 

という内容が何度も資料を読んでわかってきました。ポイントは適格年金制度廃止まであと5年もあるのにどうしてそんな急がねばならないのか?ということですが、そこには主幹事である日本生命の思惑も垣間見ることができました。

 

日本生命の思惑

  1. うちの会社(日生)は日本一適格年金制度の企業数を抱えている
  2. 2012年3月に制度移行で企業に駈け込まれたら業務が回らない
  3. 5年かけて少しずつでも移管していき業務分散を図りたい
  4. 適格年金制度からまずは確定給付年金に移行し、企業を抱え込む
  5. そののちに、手間はかかるけど儲けの出る確定拠出年金の提案をする

 

さすがです!

完ぺきなストーリーです!

自分が日本生命の企業担当部長であれば同じ計画を立てます!(←偉そうww)

 

ただし、どこの歯車が狂ったか今回は上記のストーリーとはなりませんでした。

それはまた追ってお伝えしていきます。

 

いずれにしてもこの時点では自分の中では、

 

  • 労務担当者が打ち合わせでは理解して聞いていた(と思う)
  • 自分は移行担当としては理解不足過ぎ
  • 最悪、担当になっても主担当は労務担当が実施するだろう
  • なによりも部長から何も言われなかったので大丈夫

 

という考えでいたので、特に次の展開を検討もすることなく、自分の主業務である採用や研修について次の企画を考えていましたが、もちろんそうは問屋が卸さないのは言うまでもありませんでした。

 

つづく

 

 

 

 

 

*1:+_+

小売業におけるシフト制度⑩(最終回)

専務からの

 

「残業代を減らせ」

 

という指示に対して

店舗とのやり取りをするうちに

少しずつ成果が出てきました。

 

残業代が減ってきたのはもとより

  • 退職率が減ってきた
  • 売上が増えてきた

という副次的な成果もありました。

 

もちろん、退職率や売上は、変形労働制のシフト制度を導入しただけが理由ではありませんが、会社自体が一時のどん底からそろそろ回復しようとしていた時期なので、ちょうどシフト制度導入が良い推進エンジンのひとつになったと思われます。

 

また嬉しいこともありました。

 

長期で入院している先輩のところにお見舞いに行った際に、どうやら他の社員からシフト制度を導入した話を聞いたらしく

 

「シフト制度導入したらしいな!」

「うちの会社でよくできたな!」

「喜んでいる社員も多いぞ!」

 

と激励のコメントをいただきました。

 

現在は直接従業員として携わっていない先輩社員から客観的にそんなことを言われるのは自信にもなるし、文句を言っているのは一部の社員だけであって、実は多くの社員に喜んでもらえている制度を導入できたことは本当に良かったです。

 

店長会議でボロカスに言われた時は、正当に反論はしていたものの、

 

(5年後ぐらいにみんなが喜んでもらえる制度になったらいいかな~)

 

と弱気な思いを馳せていましたが、1年後に早くもみんなに喜んでもらえる制度ができていました。

実現できた理由はいくつかありますが、思いついたポイントを挙げてみます。

 

  1. 特命を担っているという責任
  2. 理不尽な労務管理を強いられている社員を守るため
  3. 理不尽な労務管理を強いている会社を変えるため
  4. ゼロからの仕事が形になっていく面白さがあった
  5. 誰もやったことがない仕事を実現できる喜び

 

特に、4と5は自分の特性と合っていたようで、途中からどんどんと乗ってきている自分に気づくことができました。

 

いずれにしても、特命だけ渡して、あとは任せてくれた総務部長には感謝しないといけないですね。自分の特性を良く理解して自分勝手にやらせてもらいました!!

ありがとうございました。

 

こうして2005年秋ごろ始まった自分にとって初めての特命業務は、2007年の夏ごろに終了しました。

 

 成長と充実を感じていたもののさすがに疲れたので、少しのんびりしたいなぁ~と思っていましたが、次なる特命業務が忍び寄ってきていることに、もちろん気づいてはいませんでした。

 

小売業におけるシフト制度:完

小売業におけるシフト制度⑨(残業代を減らす!)

前回のブログで専務から

 

「とにかく膨れ上がった残業代を減らせ!」

 

と指示をされて取り掛かったことは

まずは業務の棚卸でした。

  • 誰が何をやっているのか
  • 何の業務にどれだけの時間がかかっているのか

などを調べることとしました。

 

ただし・・・

当時のうちの店舗では、

まともなワークスケジュール予定表や

それに対する実績管理などもしているわけではなかったので、

ボタンひとつで数値が出てくるはずもなく、

 

f:id:kingnozaki:20160625170024p:plain

 

というようなA5用紙ぐらいのシートを自分でこしらえて、

標準的な売上の店舗を2店舗ピックアップして(←店長の協力体制も大事!)

2ヶ月程度、社員・アルバイトスタッフ全員に手書きで記入していただきました。

 

そして2ヶ月の業務棚卸をした結果は・・・

 

 結果① 社員が単純な作業労働をしている

 結果② アルバイトスタッフへの指示が不明確

 結果③ 「接客」の時間が極端に少ない

 

という課題が見えてきました。

 

それに対してそれぞれの対策を下記の通り実施してみました。

 

課題① 社員が単純な作業労働をしている

この課題に対しては、

社員の自分の「時給」を認識してもらうことにしました。

社員は当然のように「固定給」でしたから、

自分の業務を時給換算にしたことがなかったので、

それをまずは伝えました。

 

例を挙げると

 ・基本給が250,000円の社員Aがいます。

 ・250,000円を平均所定労働時間の173.3時間で割ります。

 ・250,000 ÷ 173.3 ≒ 1443円/時

 ・時間外(残業時)の係数である1.25を1443円に掛けて

 ・1,443円 × 1.25 = 1,807円

 

 「あなたが1時間残業をすると1,807円の人件費がかかります」

  と伝えます。

 

次にアルバイトの時給を提示します。  

 ・アルバイトの平均時給は850円です。

 

そして比較してみます。

 ・社員がやっていた1時間分の単純な作業労働をアルバイトにお願いします。

 ・その時間給は1,807円-850円=957円浮きます。

 ・もしくは社員1人分の残業代で、2.1人時分のアルバイトが使えます。 

 

 こんな単純なこともこれまでは認識していなかったので、

ひとつひとつ丁寧に具体例を交えながら伝えていきました。

 

課題② アルバイトスタッフへの指示が不明確

この課題は、ワークスケジュール表が機能していないことが問題でしたので

それをどのように活用するかを理解していただくことに注力しました。

 

ちなみにワークスケジュール表ってあらためて何か言うと・・・

 

従業員曜日別、時間帯別の交替予定表(ワークシフト表)に割り振りそれぞれの作業内容指示作業割当)した勤務予定表のこと。

 

 

という定義ですが、

当時の変形労働時間制を導入した店舗のワークスケジュール表は

こんな感じでした・・・

 

 

f:id:kingnozaki:20160625191344p:plain

 

これは、 

 特に作業を割り当てることもない、ただの「勤務時間表」でした。

つまりこの状態でなにが問題になるかというと、

  1. アルバイトが何をして良いかわからない
  2. 社員がアルバイトにテキトーに業務を指示する
  3. 指示が出ていない時にはアルバイトが遊ぶ・・・

という悪循環が発生していました。

 

それの対策としては、

 

ワークスケジュール表に割り振る

 

ただし

「人」に「作業」を割り振るのではなく、

「作業」に「人」を割り振るという

 考え方を店舗のみなさんに伝えました。

 

これまでは、

アルバイトA:8時間 ← 荷受け、商品出し、接客

アルバイトB:8時間 ← 荷受け、商品だし、接客

アルバイトC:6時間 ← 商品だし、接客

というイメージでしたが、

 

今後は、

荷受け :11時間 ← アルバイトA:6時間,アルバイトB:5時間

商品だし:7時間   ← アルバイトB:2時間、アルバイトC:5時間

という考え方にしたわけですね。

 

そうすると、

【前】アルバイトA:8時間 アルバイトB:8時間 アルバイトC:6時間

【後】アルバイトA:6時間 アルバイトB:7時間 アルバイトC:5時間

とそれぞれ労働時間が減り、人件費を削減できる。

という計算が成り立ちました。

 

これについては、店長からは

 

Q.「いや~、言いたいことはわかるけど、

    時間を減らすとアルバイトから不満が出るでしょ~」

A.「では、社員の単純作業労働を振って、

    アルバイトの労働時間は捻出してもいいですよ。

      そのかわり、社員の残業は『無し』でお願いしますね」

 

Q.「作業の時間って事前にわからないけど、どうするの?」

A.「荷物の入荷量とかは、

    事前にバイヤーや物流センターに聞いてもらえればわかりますよ。

      あとは、店舗で算出して計画してもらえれば結構です。」

 

といったやりとりはありましたが、

なんとか(うまく)、理解してもらいました。

 

そして運用としては、

ワークスケジュール表に

 

事前に必要な作業を洗い出しそこにアルバイトを割り当てていく。

 

という流れを実施し

その場しのぎの社員指示を少なくすることで、均質的な

アルバイトの業務作業が実現することができました。

 

課題③ 「接客」の時間が極端に少ない

小売業としてこれはマズかったのですが、上記の

課題① と 課題② を勘案すれば、おのずと答えは

出てきました。

 

 課題① 社員が単純な作業労働をしている

 解決策 アルバイトが単純作業労働を実施する

 つまり 社員が余る

 

 課題② アルバイトスタッフへの指示が不明確

 解決策 ワークスケジュール表を有効に利用して社員指示を少なくする

 つまり 社員が余る

 

 課題③ 「接客」の時間が極端に少ない

   解決策     余っているスタッフが実施する

 つまり 社員が「接客」をする

 

という良い流れができ、

社員の接客により接客のクオリティも上げながら

作業については、アルバイトにより費用効率を図り、

社員のムダな業務を無くすことで、

肝心な残業代も徐々に減らしていくことが出来ました。

 

 

ただし、そんな自分からの啓蒙活動ではなく、

店舗としても、

 

『残業<帰宅』

 

という文化があったため、

 

今まで10時間で実施していた業務を8時間で実施する! 

 

というように、人間として単純に能力を上げていただき、

残業代を減らしていくということが要因としては一番

大きかったかと思います。

 

そんなやり取りを1年ほどふまえながら、

はじめての特命業務である変形労働時間制

所謂シフト制度の導入が終わりをつげようとしていました。

 

つづく

 

小売業におけるシフト制度⑧(専務からの指摘)

総務部長から「ちょっといいかな」と呼ばれて

告げられた内容は、

 

「専務からこの変形労働制度は『失敗だ』と言われてしまった。

 俺も(←総務部長)いろいろ言ってみたけどムダだったよ」

 

とのことでした。

ちなみに専務が失敗と言っている理由は下記の通りです。

 

  • 時間外残業ばかり余分に出て、会社としてはメリットがない
  • スタッフが働きやすくなるどころか制度によって混乱が生じている
  • 社員の就業時間が短くなることでお客様サービスが低下する

 

以上のような内容でした。

 

僕は口には出さなかったものの、頭の中ではこう思っていました。

 

 

「そりゃ、そうでしょう」

 

 

と。

  • 今まで出ていなかった時間外は出てあたりまえだし
  • 制度導入当初は混乱するのは当然だし
  • 長時間労働の方がサービスのクオリティは下がると思うけど・・

 

という思いを巡らせながら部長の話を聞いていました。

 

ではここで、このブログ初登場の専務についてご紹介します。 

 

  • 我が社を全国展開できる会社にした立役者
  • 創業者も絶大な信頼をしている営業系のトップ
  • 自他とも認める次期社長候補

 

そんな感じで、誰もが恐れる実力者です(^^;

 

そんな実力者である専務から指摘を受けた今回の制度は、

正直に言うと、ひとたまりも無くなってしまう・・・

と言うのがこの時点の状況でした。

 

ただし、総務部長が自分に対して一通り説明をし終わった瞬間に

僕は自分でも思いもよらなかった言葉を発しました。

 

 

 

「自分が専務のところへ行って説明してきます!!」

 

 

 

 なぜ、そんなことを言ったのかはわかりませんが、

総務部長の話を聞きながら、

 

(専務だろうが、何だろうが、勝手なことを言うな!)

 

という思いはこみ上げてきていましたし、

なによりも今回の変形労働時間制の導入は

営業系から「何とか頼む!」と言われた

特命案件でしたし、

なによりも自分としても苦労をしながら導入まで

こぎつけた制度をひとりの役員が文句を言ったところで

壊されるわけにはいかない!

 

(これでゼロに戻ったらうちの会社の労務管理はダメになってしまう)

 

という思いなどが募ってそのようなセリフが出たと考えられます。

 

そんなこんなで相当頭に血がのぼっていた自分は

資料もなにも持たずに

 

「ちょっと待てっ!」 ←(ドラマみたいだけどホントに言ってた)

 

という総務部長の制止も聞かずに

 

営業本部のあるフロアへ行き、

 

”ズカズカ” という足音を立てながら、

 

専務の机の前まで来ました。

 

そして

 

” ドンッ ”と両手で専務の机を叩くことまでは無かったものの

 

「異様な雰囲気で専務と対峙している奴がいる。」という

 

周囲の目線をもらいながら、専務に対して話始めました。

 

以下:当時の逐語録

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

自分「変形労働制についてですが・・・」

 

専務「あ~、あれはダメだろ!」

 

自分「どうしてですか?」

 

専務「残業代ばかり出て、効果がないだろ!」

 

自分「残業代が出ているのは、今までの膿を出しているんです」

 

専務「膿?」

 

自分「膿です!

   これまでは法律に対して触れるような労務管理であったので

   今回、労務管理を変更したんです」

 

専務「それにしても制度を変更して、残業代が出るのは

   うまくいっていないということだろ!

   新しい制度でも残業代が出ないようにするべきじゃないのか?」

 

自分「制度の導入当初はどうしても出てしまいます。

   ただし、10月と11月を比べてみると残業代は減っています」

 

専務「じゃあ、その残業代を早くなくせ!」

 

自分「導入後はそれが重要ですから、これから実施します」

 

専務「また聞くからな」

 

自分「わかりました。失礼します」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

という会話が、お互い顔を若干赤らめながら話した内容になります。

 

営業の社員からすると専務に対してあんな風に啖呵をきって

話している社員をみるのは初めてだったようで、

専務の机の周囲の社員が仕事をしている風で、

耳をそばだてているのが手に取るようにわかりました。

 

また総務部へ戻ってきてからは

総務部長からは

 

「大丈夫だったか?」

 

という猛獣狩りにでも行ってきたような言葉を掛けられ

 

「とりあえず、言ってきました!」

 

と力強く答え、

 

「とにかく、残業代を減らせ!ということなので減らしにかかります」

 

と報告をし、総務部長もホッと胸をなで下ろしていました。

 

 

 

 

以上が専務との顛末になります。

今回の教訓としては、

 

  信念を持っていることは押し通してみる

   結果としては今回は、押し通すことができました。

   もちろん条件としては、相手の度量の大きさだったり

   ロジカルな説明能力だったりは必要かと思いますが、

   何よりも今回は、珍しく「熱意」がモノを言ったと思います。

   真剣にやった仕事に対しては、誰が何を言おうとブレない

   信念が必要かと思いますし、ブレてしまうようではまだまだ

   信念が足りないのではと思います。

   組織ですから、あの場で専務に「却下!」と言われれば

   引き下がりましたが、その前に「押し通す」ことは誰でもできると

   思うので、自分の価値を確認するためでも重要な行動でした。

 

  資料は必要以上に持っていけ!

   今回、失敗したのは、資料をひとつも持って行かずに

   まさに「身ひとつ」で専務のところに乗り込んでしまったのは

   大きな反省です。たまたま資料の要求がなかったり、

   大まかな内容は頭の中に入っていたので、事なきを得ましたが

   今であれば、これまでの変形労働制度の資料を両脇一杯に

   抱えながら突撃したと思います。

   これは弁護士から教えてもらったテクニックで、

   「相手よりたくさんの資料を ”ドンッ”と机の上に置くだけでも

    こっちはしっかりと調査しているんだ!というアピールに

    なりますからね」

   と日本一の弁護士数を抱える某大手弁護士事務所の方が

   おっしゃっていました。それを聞いて以来、取締役会での

   発表がある際には、まさに「必要以上の資料」を持ち込んで

   説明をすることが習慣になりました。

   資料は常に手元に置いておきましょう!

 

というわけで、その日はなんとなく興奮覚めやらぬ中終わるとこでしたが、

実はとんでもない後日談というか当日談があるのです。

 

総務部はたまに、役員の運転手をすることがあります。

専任の運転手ももちろんいないですし、

タクシーを使うという文化もありませんでしたので、

本当に稀ではありますが、運転手をします。

 

もうおわかりですね・・・

 

 

 

 

なんとその日に専務が取引先と会食をするための会場まで

僕がお送りすることになってしまったのです。

 

もちろん、総務部長も代わりの社員を探してはくれましたが

結局見つからず、自分が行くことになってしまいました。

ちなみに他の役員はおらず、自分と専務のふたり旅でした・・・

 

道中はだいたい25分ぐらいあります。

 

さて、どうしたものか・・・

 

と思案していましたが、乗り込んできた専務は

自分が運転手であることに若干驚いてはいましたが

さきほどの変形労働制度の話を遠慮なくしてきました。

 

 

以下:当時の逐語録②

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

専務「それにしてもそんなに残業代が出るっておかしいだろ」

 

自分「あの・・本当に膿として隠れていただけで、

   今までがマズかったんだと思います」

 

専務「今まではそんなにマズい制度だったのか?」

 

自分「あのままでは法律には引っかかるか、

   訴える社員はいたと思います」

 

専務「何とかならんのか?」

 

自分「これからなんとかします」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

という話を繰り返しながら道中をなんとか過ごしました。

昼間に机を挟んで対峙していた時よりもさずがにお互い

トーンは下げて話すことはできましたし、なによりも

これまでの現状とこれからやっていこうとすることが

あらためて説明はできたので、最初はどうなるかと思いましたが、

結果としては今回の運転手役は非常にタイミングが良かったです。

 

という形で、なんとか

  • 店長
  • 組合
  • 役員

と納得?(説得)させていきながらシフト制度のレベルアップを

図っていきました。

 

つづく

 

  

 

 

小売業におけるシフト制度⑦(導入開始の状況)

前回のブログでは新しく導入する変形労働時間制度を

店長に説明(説得?)するところまでをお伝えしましたので、

今回はその続きです。

 

店長への説明は悪戦苦闘しながらもなんとか終了し

組合にも説明を完了し(←こちらはスムーズでした)

2006年10月より変形労働時間制を導入いたしました。

 

店舗には改めて下記の点について徹底するようにつたえました。

  • 開店から閉店までの勤務ではなくシフトで勤務すること
  • 1ヶ月の所定労働時間(ex.176時間)をもとにシフトを作成する
  • 事前設定した1日の所定労働時間を超えたら「時間外」をつける

などが主な内容になります。

 

それに対して店舗からの質問は

 

 Q.実質として社員の実労働時間が減ったがその分は残業して良いか?

 A.単価の安いアルバイトにて補ってほしいが、どうしてもの場合は

   残業して時間外勤務を申請してください

 

 Q.うちの店は1年間の繁閑の差が激しいので、

   1年間の変形労働制を取り入れても良いか?

 A.会社として1ヶ月の変形労働制を実施しますので、

   1年間の変形労働制は認めません

 

 Q.シフトを作成する際に、1日の時間の最低労働時間はあるか?

   1日2時間勤務でも良いか?

 A.法律上は問題はないが、1日2時間の勤務でも問題ないという

   合意を従業員に確認しなければならない

   (あまり良くない・・・)

 

などの問い合わせがありましたが、いずれも変形労働制に対する

前向きな質問であり、店長への事前説明会であったような

 

 「環境も整っていないのにムリだろ!」

 「労働時間が少なくなるからお客様に迷惑がかかる!」

 「店長に『死ね』っていうつもりか!」(←耳にこびりついてる)

 

というボイコット、後ろ向き系な意見・質問はいざ導入すると

ほとんどありませんでした。

 

やはり店長自身も、

今まで長時間労働を部下スタッフに強いていたことがあり、

そのうしろめたさから、やらざるを得なかったのでしょう。

 

そして導入した10月はあっという間に終わり、

11月1日に全店舗分の時間外の集計を実施しました。

結果としては・・・

 

 

前年の10月に比べて約20倍の時間外が計上されました。

 

 

はっきりいうと、総時間外は全く予想はしていませんでした。

ただし、目の前にある時間は、非常に膨大な時間が記されていましたし

視点を変えてみると、これだけの多くの時間外がサービス残業として

潜在していたと思うと、さずがにビビりました。

 

ただし、集計した時間外は事実として上司に報告しなければならないので

総務部長と担当役員に対して説明をしました。

反応としては、出てきた数字にはショックを受けていましたが、

 

「これまでの膿が出たのだからしょうがない。

 今後はこれを改善していけば良い」

 

というコメントをもらったので、胸をなで下ろしましたが、

 

「営業系の役員に報告するのはもう少し待ってからにしよう」

 

という話もありました。

実は、総務部長も担当役員も当社のプロパーではなく

所謂、社内の主流派ではありませんでした。

そのためどうしても慎重な言動があり、

このままこの結果だけの数字を

営業の役員やオーナー社長に報告したらマズイ雰囲気になるだけでなく

最悪のケースとして、

今回の変形労働時間制がつぶされてしまうと思ったのでしょう。

 

いずれにしても僕としてもこのままの数字を営業系の役員に

報告するのはやっかいだったので、

「わかりました」

と同意しました。

 

 

そして、11月に入ってからも店舗からは特に大きなクレームもなく

順調に変形労働時間制は浸透してきている様子で、

反対に

 

 「うちの店舗ではこんな施策で時間外を削減した」

 「シフトパターンを810から860に増やしたらシフトが組みやすくなった」

 「シフト入力表とワークスケジュール表の連携をもう少し良くしてもらえると

  シフト作成の効率が高まります」

 

などという非常に前向きな意見が多く挙がってくるようになり

それを社内のイントラネットにアップしながら少しずつ浸透を図っていき、

少しでも時間外が少なくなるように努めていきました。

 

そして、導入後2ヶ月経った、11月も終わり、

12月1日に11月分の時間外の集計を実施しました。

結果は・・・

 

 

前年の11月と比較して、20倍まではいかなかったものの

相変わらず、膨大な時間外が社内の労務管理のサイトには刻まれていました。

 

 

ただし、10月の時間外と比べると総時間外の数字は

ほとんど同じであったことは大きな収穫でした。

つまり

  • 10月より11月は忙しい
  • 少ないながらも毎年時間外は10月から11月には増える傾向がある

という条件ながらも、

今回は10月と11月の時間外がほぼ同じ推移だったのは

少しずつでも店舗の時間外削減に対する対策が効果を表しているのだな

と感じており、自分としてはやっと変形労働時間制を導入した手応えを

つかみはじめていました。

 

そんな中、総務部長が青白い顔をして自席に戻ってきて

「ちょっといいかな?」

 と僕を呼びました。

 

まさに

 

不吉な予感がした。馬が死んだ。インディアンの太鼓もやんだ。

静かすぎる。僕は小指の先でこめかみを掻いた。   

 

 と「ダンス・ダンス・ダンス」で主人公が牧村拓に

「ユキの面倒を見てもらえないだろうか」

と言われた時のフレーズがふと頭をよぎりました。

 

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)

 

 

とにかく嫌なイメージしかしないながらも

 

「なんでしょう」

 

と平常心を装い総務部長の机に向かいました。

 

つづく

小売業におけるシフト制度⑥(店長会議での説明)

1ヶ月の変形労働時間制という仕組みと

810パターンのシフトを携えて、

各店舗の労務担当者である店長のみなさんに制度内容を説明に行きました。

 

当時のうちの会社は、比較的日本全国に店舗を展開しており

店長会議も東京、名古屋、大阪、広島、福岡と主要都市で

そのエリアの店長を集めて3時間程度説明会を開催しました。

 

説明会の内容は

  1. 当社の労務管理状況と法律的な問題点
  2. 現在の状況を改善するための新しい仕組み←変形労働時間制
  3. 新しい仕組みの具体的な運用方法
  4. 質疑応答

という流れでそれぞれが45分程度でありました。

 

最初の1.当社の労務管理状況と法律的な問題点

話し始めた際の反応としては

 

「そうそう!そうなんだよ!」

「俺も法律的に問題があると思ってたんだよな~」

「やっぱり、店長出身の本部社員(←僕の事)は自分たちの味方だよな~」

 

といった雰囲気で概ねウェルカム感が漂っているんです。

というよりもこれから始まる新しい制度に対する期待満々!

といった目で僕を見ていました。

 

次に2.現在の状況を改善するための新しい仕組み←変形労働時間制

を説明している際の反応としても

 

「なるほどねぇ~。やっぱり今のままじゃだめだよね!」

「うちの会社もこういう新しい制度を導入する必要があったんだよ!」

「これでやっと長時間労働から解放されるわ」

 

という話が1.2.が終わったあたりで挟んだ休憩中にコメントを

もらったりしてまだまだ高評価という雰囲気だったんです。

ここまでは・・・

 

そしていよいよ、3.新しい仕組みの具体的な運用方法

の話をし始めると、

 

「はあ?810パターンのシフトを俺たちが組み合わせるの?」

「労働時間が少なくなった分の業務はどうするの?」

「残業代が増えると思うけど、大丈夫なの?会社的には?」

 

と、今まで散々、これまでのやり方を非難し、新しい制度に対して

好意的に接してきた店長たちも、具体的な話になると手のひらを返したように

新しい制度を批判してきました。

所謂、

「総論賛成、各論反対」

というパターンにはまってしまいました。

 

そして、最後の4.質疑応答 ではいよいよ怒号が飛び交うようになります。

 

「結局会社が作る制度はろくなもんじゃない!」

「準備期間もろくにないのに導入ありきだ!」

「店長は死ねっていうことか!」

 

といった状況でした。

少し、状況を整理すると、今の店長は残業代が対象にはなっていますが、

当時の店長は「管理者」として残業代が対象にはなっていませんでした。

つまり、一般の社員の労働時間が変形労働時間によって少なくなることで

業務のしわ寄せが自分たち(店長)に全てくる。と思っていたので、

 

「店長は死ねっていうことか!」

 

といった発言になったんですね。

 

また当時のうちの会社は、「残業をつける」ということが

「悪」ということになっていたので、

同様に一般の社員に対して残業を「つけられない」から

その分自分たちが「働かなければならない」

という発想になったのでしょう。

 

そしてこのような店長たちの反応に対して

自分としては下記のポイントを重点に繰り返し説明しました。

 

  • 今の勤務体系はサービス残業が横行し法律上問題である
  • これから時間外に対しては堂々と残業代をつける
  • 今やらなければ100年経ってもできない

これまでの自分であれば、なんとなくその場を

「では少し本部で検討しまた回答します」

などと逃げていたところでありました。

 

しかし今回の制度変更は自分に回ってきた

「特命業務」であり、なんとかやり遂げなければならない!

というまさに使命があったので、毅然とした態度で

店長に対しては説明をして少しでも理解をしていただくよう

努めていました。

 

そんな形で、なかなか理解を得られないながらも

強気の態度で説明し、くたくたになりながらも家に帰っていたのを

思い出されます。

そこではその年、生まれたばかりで、スヤスヤ寝ている娘に対して

仕事の愚痴を聞いてもらっていたのが、唯一の安らぎでした(笑)

 

そして、組合にも了承を得て、いよいよ制度を導入する運びとなり、

特命業務を一区切りつけたことでホッと一息をついていましたが、

当然のように導入後も波乱の舞台が待っていました・・・

 

つづく