確定拠出年金を導入しました⑧(管理本部長への提案)
新企業年金の設計を「確定拠出年金25%と確定給付年金75%」のハイブリッド案を導入するべく下記の3つの選択肢を従えて部長と一緒に管理本部長に提案するために、管理本部長室へ向かいました。
◆選択肢1 確定給付年金(DB)100%
◆選択肢2 確定拠出年金(DC)100%
◆選択肢3 確定拠出年金(DC)25%、確定給付年金(DB)75%
プレゼンテーションは下記の内容にて実施いたしました。
1.現状の我が社の企業年金の状況(問題なし)
2.20年後の我が社の企業年金の予想(問題あり)
①毎年平均勤続年数が増えている
②退職給付債務が増大する
③現状の企業年金では財務の悪化が避けられない
3.確定給付年金(DB)100%の説明
①メリット
・導入が容易
・従業員は給付額が確定している
②デメリット
・退職給付債務増大を避けられない
4.確定拠出年金(DC)100%の説明
①メリット
・過去勤務債務がなくなる
・従業員の投資に対する知見が上がる
②デメリット
・従業員の運用負担が大きい
・中途退職者の一時金がなくなる
5.確定拠出年金25%、確定給付年金75%のハイブリッド案説明
①メリット
・退職給付債務の軽減
・従業員の投資に対する知見が上がる
②デメリット
・事務手続き費用の増大
6.結論として「ハイブリッド案」を導入するべき
理由は「退職給付債務の軽減」は「事務手続き費用増大」よりもメリットがある
以上の流れで管理本部長には説明しました。
ポイントは2.20年後の我が社の企業年金の予想は問題である。というプレゼンテーションでいうところのホラーストーリーを用意し、リスクを煽ることを重点におきました。
事前の情報では管理本部長は
「無難に確定給付年金100%でいいんじゃないか」
と部長に話していたとのことですが、
結果は・・・
確定拠出年金25%と
確定給付年金75%の
ハイブリッド案に承認をいただきました。
承認のポイントは意外にも
・従業員の投資に対する知見が上がる
に好感をいただきました。
そこに目がいくとはさすが役員!
そう思うと、将来のリスクを煽って確定拠出年金を導入させよう。なんていうマネージャーはまだまだ器が小さいですね・・・
いずれにしても今回の勝因を振り返ると
- 3つの選択肢を用意して入念に調べあげたこと
- 会社、従業員双方のメリットデメリットを定性、定量にて提示したこと
- 自分の意思を持って臨んだこと
あたりが挙げられるかと思います。
そして、次のステップはいよいよ取締役会です。
管理本部を克服して気合が入っている私に総務部長が言いました。
部長「取締役会は俺が話するわ」
私 「えっ、あっ、はい・・・わかりました」
サラリーマンを実感しました・・・
部長としてはどちらに転ぶかわからない管理本部長への提案はマネージャーである私に任せて、そこで承認され、取締役会でも勝機があると見るやいなやすぐに自分の手柄にする・・・これが出世する人なんだなぁ~と改めて理解しました。
そして、部長は意気揚々と取締役会に新企業年金の導入案を
確定拠出年金25%と
確定給付年金75%の
ハイブリッド案を
提案するのでありました。
つづく