確定拠出年金を導入しました④(新しい年金制度の検討)
前回のブログで、ある程度企業年金のことを理解した私が次に実行することは、新しい企業年金制度の骨子をつくることでした。
そこでまずは当時の会社の状況をご紹介いたします。
◆業種 小売業
◆平均勤続年数 約6年
◆割引率 2%
◆給付利率 2.5%
◆適用制度 適格企業年金制度
◆その他 3年未満で退職の場合は退職一時金ゼロ
という状況で、解釈を加えると下記の通りになるかと思います。
- 平均勤務年数も短いため、退職給付債務は膨れ上がっていない
- 給付利率も2.5%と低めに設定してあり、今後の負担も押さえられる
- 今後は平均勤続年数も伸びてきており、定年までの勤務者が増えると思われる
上記をふまえると、直近においては、うちの会社は企業年金における財務的な負担はそれほど深刻に考えることなく、企業年金制度の移行は適格企業年金主幹事の日本生命のお勧めや会社の財務系の役員が考えていたように制度として似ている「適格企業年金」から「確定給付年金」へのスライドで問題はないはずでした。もしくは、日本生命が言っていたように
ただし、問題はこのアマノジャクな私が今回の企業年金移行の特命担当を実施しているということでした。
このまま、「適格企業年金」から「確定給付年金」へ移行した場合の
メリットとしては、
- 移行業務が簡単
- 社内の企業年金の大きな制度変更なく移行できる
反対にデメリットとしては
- 退職給付債務が徐々に増加し、20年後には財務を圧迫する可能性がある
- 金融機関の運用次第で、会社の年金に対する持ち出しが増える
あたりが挙げられるかと思います。
このメリット、デメリットの4つのポイントの中で、私が重要と考えたポイントは
- 社内の企業年金の大きな制度変更なく移行できる
になります。
これまでの企業年金は、ほとんど社員が興味を持つこともなく退職する時になってやっと「知る」という存在でした。ただ、今後の社員の給与やキャリアを考えると、自分のライフプランを自分で考えなければならない。という時代がくることは容易に想定できます。
そんな中で、適格企業年金から確定拠出年金に無風で何事もなかったかのように移行することは、このまま企業年金という重要な要素を社員として「知らずに」過ごしてしまうことになりかねません。特にうちのような小売業の社員は、ファイナンスはもとよりライフプランにも興味のない社員が多いため、「知らずに」なにもかも過ぎ去り、定年後に泣く。という事態を招きかねません
そのために企業年金の存在を「社員が知る」制度に移行する必要があります。
そしてその「知る」ための制度が確定拠出年金制度だったわけです。
つづく